ORAS シングル ファイアロー
1.概論
”はやてのつばさ”による先制攻撃がアイデンティティにして最大の売り。
威力120の先制技というのはそれだけで大きなアピールポイントである。
元々のすばやさの高さもあって擬似的に”ふいうち”に耐性があったり、”がんせきふうじ”を喰らっても”はねやすめ”も先制で打てたり、先制技圏内まで削られてもほとんどの先制技よりも早く”はねやすめ”による復帰ができる、”トリックルーム”中でも運用にさして問題が生じないなど”はやてのつばさ”の有用性は『ただ速くて強い攻撃』に留まらない。
基本的にはどんな型であっても”はやてのつばさ””ブレイブバード”は採用されるため、
a.全抜きポケモンへのストッパー
としての役目は多くの場合で果たすことができる。
また、技構成やもちものによって
b.”ゴツゴツメット””おにび””はねやすめ”による詰ませ性能
c.”ちょうはつ”による起点造り封じ・コンボ封じ
d.”おいかぜ”によるサポート
e.”つるぎのまい”による崩し・抜き性能
d.”こだわりハチマキ”による崩し・抜き性能
を発揮することができる。
2.技構成
ブレイブバードフレアドライブとんぼがえりねごと@こだわりハチマキ
”こだわりハチマキ”の構成。
aとしての性能が高めで、通常の”ブレイブバード”で処理しやすいバシャーモやウルガモスのみならずマリルリ、カイリュー、メガギャラドス、メガボーマンダに積み技を許してしまってもダメージを与えておけば強引に”ブレイブバード”で押し切ることがしやすい。
後に述べる補助技中心のファイアローに対して強いライコウやサンダーでの受けも”フレアドライブ”で問題なく突破できる。
有利対面から後続へと負担をかけることができ、充分なファイアロー受けのいない構築に対しては効果的な構成である。サイクル戦の中で相手を消耗させれば”こだわりハチマキ””ブレイブバード”連打で全抜きすることも視野に入る。
ただし、バンギラス、ヒードラン、物理耐久に振ったウォッシュロトムなどファイアローにタイプ上有利なポケモンがいる場合にはあまり負担にならずサイクル負けしやすいことには留意が必要である。
一番ベーシックと思われる技構成を例示したが、技構成はカスタマイズの余地がありメガフシギバナに対して”ねごと”で”ブレイブバード”を引き当てる確率を上げるために技を絞ったり、サイクル戦でタイプ受けしてくる相手に効果的な”どくどく”を採用するなどのパターンもある。
ブレイブバードおにびちょうはつはねやすめ@ゴツメ
”ゴツゴツメット”の構成。。
物理の比率が高いORASにおいて”おにび”は強力な技であり、もともと『強い相手には一方的に強い』性質を持つファイアローは後続にほとんどタイプに関係なく定数ダメージを与える”おにび”とは相性がいい。
一度”おにび”を入れてしまえば多くの物理ポケモンの攻撃に対して”はねやすめ”で回復がおいついてしまう。受け出しこそ効かないが、性質としては『一部の相手を封殺する』という意味でナットレイやラッキーに近いとも言える。
”ちょうはつ”を持つためにクレセリアやポリゴン2で受けられても逆に”おにび”で削り倒すこともできる。
ファイアロー本来積みエースへの抑止力としての役目をこなしつつ汎用性の高い構成であり、”おにび”さえ決めることができれば強力な詰ませ能力を持つポケモンである。
ただし、物理耐久自体がさほど高いわけではなく”おにび”が外れたり”ラムのみ”で防がれると途端に劣勢に陥ってしまうのが難点である。
ブレイブバードおにびちょうはつはねやすめ@ラムのみ
技構成は”ゴツゴツメット”と同じだが、持ち物を”ラムのみ”にしたパターン。
クレッフィやニャオニクスのような起点作りポケモンに対して一度”いたずらごころ”で動かれても確実に”ちょうはつ”を入れることで展開を阻止することができる。同様にカバルドンも”あくび”を受けながら”おにび”を入れることで”はねやすめ”で完封できる。ビビヨンやメガフシギバナに受け出しても勝てる可能性が高い。
”ねむりごな””キノコのほうし”をより重く見るなら”ぼうじんゴーグル”との相性も悪くはないが、メガフシギバナの”ヘドロばくだん”やキノガッサの”がんせきふうじ”で大ダメージを負ってしまうため複数回粉技に受け出せるという長所は活きにくいかもしれない。
ブレイブバードちょうはつおいかぜつるぎのまい@ラムのみ
後続のエースを降臨させるために”おいかぜ”を使うパターン。
”おいかぜ”を消費させるためにターンを稼ごうとする相手には”つるぎのまい”で自身が決定力になることができる。
コンセプトから初手で出すことも増えるため、”ちょうはつ”と”ラムのみ”を持たせた、これらの枠は構築によってカスタマイズできるだろう。
”だっしゅつボタン””とんぼがえり”などで後続と繋ぐことも選択肢には上がる。
ブレイブバードちょうはつつるぎのまいはねやすめ@するどいくちばし
”つるぎのまい”ファイアロー。
クレセリアやソーナンス、ポリゴン2のような数値受けは、突破自体は”おにび”でも可能ではあるが”つるぎのまい”採用することでを逆に起点にまでできる。技構成次第ではヒードランさえ起点にできる可能性がある。
”ちょうはつ”を入れることで”でんじは””みかづきのまい””アンコール”などを封じることができるが、この枠を”フレアドライブ”でクレッフィやライコウ、サンダーへの打点を確保してもよい。
3.対策
持ち物によって全く別の性質に化けるという難儀なポケモンであり、これという安全な対策は少ない。
ファイアローの相手をするためにまず想定しなければいけないのは”おにび”と”ブレイブバード”であるため、最低限も止められる条件は”おにび”で機能停止しないこと、”ブレイブバード”で致命傷を受けないこととなる。
という点を考慮すると電気タイプの特殊ポケモンになる。ライコウ、サンダー、メガライボルトなど。”フレアドライブ”にも耐性のあるウォッシュロトムやヒートロトム、ヒードランなどなら信頼性はより高い。
受けるだけならクレセリアやポリゴン2という手もあるが”ちょうはつ”でストップすると辛いのでその点を打破できるようにしなければならない。
”ステルスロック”で大ダメージを受けるポケモンではあるが”はねやすめ”で復帰することもでき、”ステルスロック”が入ったからといってファイアローに弱いポケモンがファイアローとの相性関係を逆転できるわけではないため、それだけでは対策とは言い切れない。そもそも”ステルスロック”を”ちょうはつ”で止められる可能性もある。
対面からの展開や迫撃には強いポケモンではあるものの、受け出し性能は基本的に低く”ブレイブバード”を使うたびに命を削っていくために消耗も速い。ファイアローに弱いメガフシギバナやローブシン、キノガッサなどを運用する場合にはファイアローにローリスクで”おにび”を打てるような余裕を作らせない立ち回りを心がけたい。
格闘タイプは交代際に”はたきおとす”を決めることができれば型が絞れるために対処もしやすい。