ORASシングル初手 考(未完)
1.はじめに
ポケモンで初手で有利に立つことで得られるアドバンテージは大きい。
そこで、本稿では初手で選出されやすいポケモンを整理して考え方を整理したい。
初手向きのポケモンを以下に区分する。
a.設置(ステルスロック、どくびし、まきびし、ねばねばネットなど)
b.壁(ひかりのかべ、リフレクターなど)
c.状態異常(でんじは、あくび、キノコのほうしなど)
d.妨害(ちょうはつ、アンコール、キノコのほうしなど)
e.対面性能
f.その他
aにはカバルドン、ラグラージ、ランドロス、ガブリアス、アグノム、マンムー、ユクシーなど。”ステルスロック”だけなら技を一つ割くだけで使えるために以下のいずれかを兼任することになる。形の上では類似の技を挙げたが事実上は”ステルスロック”カテゴリであり”どくびし”ゲッコウガや”ねばねばネット”ドーブルを運用する場合はまた考え方が変わってくるだろう。
後ろに積み技を使うポケモンが控えていることが多く、カバルドン+ルカリオ+カイリュー、ラグラージ+カイロスのような組み合わせの知名度が高い。変わり種として壁や”ちょうはつ””だいばくはつ”を使うアグノム、”がんせきふうじ””アンコール””ちょうはつ”を備えガルーラに強くに動けるゴウカザルなどもいる。
カバルドン、ラグラージ、ユクシーなどの『状態異常』でサポートに専心するタイプとガブリアス、ランドロス、マンムーなどの単体スペックが高いポケモンで数的損失なく”ステルスロック”を使うタイプに分かれる。
bには壁を使って後続に繋げるパターン。クレッフィ、ニャオニクス、アグノム、ライコウ、ラティオスなど。壁だけを使う分にはニャオニクスやクレッフィなどの”いたずらごころ”ポケモンが最も適性が高いのだがそれ以外のポケモンにもそれぞれ採用されることは多い。
壁自体は覚えるポケモンがとても多いのだが基本的には壁は先手で貼ったほうが効率がいいため構築レベルで壁ギミックを使う場合はすばやさの高いポケモンか”いたずらごころ”が多い。
後ろには積みエースが控えていることが多いのは”ステルスロック”と同じだが、耐久力を上げる”ビルドアップ””めいそう”などとはより相性がいい。”じゃくてんほけん”ギミックを搭載しやすい点もポイントである。
cは様々なバリエイションがあるが”あくび””でんじは”など。
dは相手の初手で採用されるポケモンへのメタである。”ちょうはつ”ボルトロスや”キノコのほうし”キノガッサなど。
eはサポートではなく純粋に戦闘能力が高さで先発向けとなるポケモンになる。ガルーラ、ランドロスなど。単純に勝てる相手が多いこと、だけでなく上述の先発向けの性質を持ち遭遇することが多いポケモンであることが大切である。
fは上記には区分できないポケモンが入る。”あまごい”や”バトンタッチ”など。
上のカテゴリ分けは便宜的なものであり、実際には複数の性質を持ち合わせるポケモンが多い。
2.個別解説
カバルドン
『設置』『状態異常』『その他』
”ステルスロック””あくび””ふきとばし””がんせきふうじ”という起点作り要員としては理想的な技を持ち、物理耐久にも優れるためにメガガルーラに対しても何もできずにそのまま落とされるということが少ない。
”すなおこし”による”きあいのタスキ”不発で助かることもあるだろう。
ルカリオやカイリュー、リザードンX、ボーマンダなど、強力な積み技を持ったエースと併用されることが多い。
また、種族値自体も高いので、裏択として”こだわりハチマキ”で”ちょうはつ”ボルトロスを殴り倒してきたり、”ゴツゴツメット””なまける”で物理ポケモンへくり出すなどの運用もある。
ラグラージ
『設置』『状態異常』
”ステルスロック””あくび””ほえる”。
技はほとんど上述のカバルドンと同じだが、物理耐久が低い反面、弱点が少ないためにウォッシュロトム・マリルリなどに対して行動回数を確保しやすく、すばやさでも多少上回っているためにニンフィア、ポリゴン2、ギルガルドなどに対しても先制できる点を評価しての採用になるだろう。
また、特殊型でも問題なく運用できるために”ちょうはつ””おにび”ファイアローに強気に動けるところもカバルドンと比較した場合の優位性。
後述のライコウと同様、『メタへのメタ』的な理由で採用されるポケモンと言えるか。
クレッフィ
『壁』『状態異常』
壁要員としては”いたずらごころ”であるため”こだわりスカーフ”による奇襲を受けない。
ニャオニクスと比較した場合の特徴は”イカサマ”で物理ポケモンの起点になりにくいこと、耐性の多さから後続と連携しやすいことだろう。
HPが1でも残っていれば控えに残して再利用できる点は”いたずらごころ”共通の強みである。
ニャオニクス♂
『壁』『状態異常』
互換ポケモンであるクレッフィと比較した場合、”あくび”を覚えるのがポイントで決定力に居座ることを許さなかったり、”あくび”をかけながら倒されることで後続をサポートすることができる。
”リフレクター””しんぴのまもり”のみならず”しんぴのまもり”も採用できる。
数は少ないが”ねこのて””キノコのほうし”を武器に”めいそう”で決定力となる構成も存在する。
ライコウ
『壁』『対面』
他の壁を使うポケモンと比較すると、”ちょうはつ”を使うボルトロスやファイアロー、ゲンガーに強いのが特徴。
耐久が高めなので、先発でなくても壁型で運用されることは多い。
”いたずらごころ”のクレッフィやニャオニクスと比較した場合不意の”こだわりスカーフ””じしん”で何もできずに落ちる可能性があるが、それを逆手にとって”ふうせん”持ちやひこうタイプのギャラドスやボーマンダの起点にすることができる。
壁2枚+電気技+”めざめるパワー”(氷)+”ひかりのねんど”でほとんど技スペースが埋まってしまうが、起点回避の”ほえる”や状態異常を狙う”ほうでん”の採用もありうる。
もちろん、他のポケモンで起点を作って”めいそう”で自身が積みエースになる可能性もある。
ラティオス
『壁』『妨害』
壁要員の中でも”おきみやげ”で相手の能力を下げながら退場できるため”りゅうのまい”などを連打されても切り返しやすい。
ボルトロス
『妨害』『状態異常』『対面』
ほとんどの”いたずらごころ”より速く”ちょうはつ”できる点が優秀であり補助技からスタートするポケモンには待ったをかけやすい。
高いすばやさから対面性能も高く安定して運用することができる。
優秀なスペックを持ち、概して先発として優秀なポケモンである。
問題があるとしたら、初手のポケモンでよく採用される”がんせきふうじ”に打ち負けやすいことか。
ファイアロー
『妨害』『状態異常』
”ちょうはつ”で壁や”ステルスロック”への抑止力になる。
”ブレイブバード”さえあれば役目を遂行できるポケモンなので技枠を”ちょうはつ”に割くのも容易であり、汎用性の高いポケモンである。
ゲンガー
『対面』『妨害』『状態異常』
”ちょうはつ”で相手の展開を妨害しつつ”こごえるかぜ”で後続のサポートもこなせる。
豊富な補助技と優れた対面性能で、メガシンカの存在も含めて、ローリスクでの処理が難しい。
キノガッサ
『対面』『妨害』
”キノコのほうし”が強力で、”ステルスロック”や壁技を使うポケモンは”ラムのみ”を持ちづらいが多く優位に立ちやすい。
”ちょうはつ”してくるボルトロスやファイアローにも”きあいのタスキ”を盾に殴り勝つことができる。
ガルーラ
『対面』
純粋にスペックが高く、多くの相手に殴り勝つことができる。
キノガッサやマンムーといった”きあいのタスキ”を活かして来るポケモンを容易に処理得切るのが特筆できる点。
ランドロス
『設置』『対面』
ガブリアス
『設置』『対面』
マンムー
『設置』『対面』
ゴウカザル
『設置』『対面』『妨害』
3.最後に
ここまで長々と初手について述べたが、今回述べたこと全てを網羅して対処する必要は特にない。初手を制したからと言ってそれが勝利にそのまま直結するとは限らない。初手で優位に立って相手の二匹を倒したからといって、最後の一匹に逆転を許すことも充分に考えられる。
それは、”いばる”運による逆転かもしれないし、初手で出したポケモンが消耗のあまり起点にされたのかもしれないし、あるいは構築段階、選出段階で既に確定した、順当で当然の敗北だったのかもしれない。
理論上必敗が確定している初手に対しても実際の対戦ではほぼ見ないのならば無理に対抗できるように構築を修正するのではなく『当たったら負けでいい』と割り切ることも考えられる。
初手対面というのは対戦における一要素に過ぎない。
とはいえ、対戦を続ける上で初手で一方的に展開されるのは継続体力を奪われるのも事実である。
改めてポケモン対戦における初手の意義を確認した上で、本稿は筆を置きたい。