ORAS シングル クレセリア

1.概説
 クレセリアが第六世代で直接的に得た強化要素はほぼない。
 メガゲンガーを筆頭に受けループを破壊する手段は増えているし、お得意様だった格闘タイプもその脅威は激減した。
 鋼タイプの耐性が弱体化したことでクレセリア+鋼タイプの並びも以前ほどの相性を発揮できなくなっているし、対戦で見かける機会も増えた。”はたきおとす”という使い勝手のいい悪タイプの技もできた。
 さらに、ORASレートにおいてはORASで厳選した個体を使わざるを得ないために地面や炎のめざめるパワーを狙うことが困難(個体値に偶数が多く必要になるためにボルトロスライコウに求められる氷よりも遥かに出にくい)という副次的な被害も生じた。
 追加された技といえば”ムーンフォース”程度であり、差し引きで考えたら割に合わない。
 にもかかわらず、クレセリアの存在感は第五世代よりも増している。
 最大の理由はメガシンカの登場であろう。クレセリアは攻守ともにメガシンカとの相性がよい。
 第六世代におけるクレセリアの代表的な運用法として”みかづきのまい”によるメガシンカの再利用がある。”みかづきのまい”によるエースの再利用自体は第五世代でも使われて来たが、メガシンカという明らかなパワーカードの登場で今まで以上に再利用する価値が高まったのである。”ラムのみ”を持てないために状態異常に弱いメガシンカの弱点も補える。
 さらにクレセリア自身は恵まれた耐久力から”でんじは””どくどく”を打てるためにメガシンカに対して無抵抗になりづらく、加えて環境が物理に偏ったことで”ゴツゴツメット”も実質的に強化されている。

 クレセリアに期待しうる役目としては

a.クッション能力
b.”みかづきのまい”によるリカバリー能力
c.”でんじは”要員
d.”トリックルーム”要員
e.物理受け
f.”めいそう”による積みエースとしての運用


aのクッション能力とは後続を安全に場に出す能力と言い換えてよく、bやc、dの役目と強くシナジーしており後続をサポートしながら”みかづきのまい”でスムースに展開を行うことができるのが強みである。
 bは”みかづきのまい”とメガシンカの相性は既に述べた通りである。メガシンカ以外でも”がんじょう”や”マルチスケイル”、不発に終わった”きあいのタスキ”とも相性がシナジーを期待できる。
 cの”でんじは”要員としては多くのポケモンがおり、”でんじは”をただ使うだけならばクレッフィやけしんボルトロスに比べてクレセリアが特に秀でているわけではない。しかし、耐久力の高さからメガシンカに対して”でんじは”を入れやすいという強みがある。
 dの”トリックルーム”発動役としては”みかづきのまい”により”トリックルーム”のターンを無駄にしない点が優秀である。
 eは流しではなく、複数回受け出すことで長期的な受けを担わせる場合。耐久に恵まれている上に地面無効・格闘半減・”つきのひかり”による回復力から多くの物理ポケモンに強気に立ち回れる。
 fは裏エースとしての運用。クレセリアを積極的に決定力にしていく。”サイコショック”を備えるために”めいそう”の積み合いには強い。

 鉄壁の耐久力から受けループ的な運用も可能ではあるが、”みかづきのまい”によるリカバリーは対面構築的な要素が強く、さらに”トリックルーム”からメガヘラクロスメガクチートに繋げる運用は起点構築的な要素も取り入れることができる。
 単体での性能は高いと言えないにもかかわらず多くの構築で採用が検討できるポケモンである。


 ”みかづきのまい”による味方のリカバリー能力はオンリーワンではあるが、対面性能を重視した構築に採用でき”トリックルーム”の発動ができるポケモンとしてはポリゴン2が比較的性質の近いポケモンである。
 また、物理受けをこなしながら後続のエースを展開できるポケモンとしてはカバルドンにも通じる部分がある。
 さらに、受けループ系で物理系に対する受けの駒としてはエアームドグライオン、ヤドランなどとも近い性質を持ち、地のスペックの高さから構築によって違った役目を求めることができる。


2.構成


サイコキネシス でんじは つきのひかり みかづきのまいゴツゴツメット
 ”みかづきのまい”によるメガシンカを復帰させることを主眼に置いたパターン。上述した役割でいうとa、b、cの混ざったような動きができる。
 メガシンカで一体倒し、クレセリアをクッション気味に使って”みかづきのまい”で再降臨させるのが理想的な動き。
 対面性能に優れたメガガルーラとの組み合わせが代表的である。
 ”ゴツゴツメット”による蓄積ダメージや”でんじは”を入れられる可能性、既にメガシンカしたポケモンをくり出せることなどから、実質的にメガシンカ二匹分以上の動きが期待できる。
 当然タイマンに強いメガシンカとの組み合わせが前提であり、メガガルーラとの組み合わせが代表例となる。
 元々起点になりやすいポケモンであり不意の急所などで”みかづきのまい”できないと敗北に直結することからクレセリアは早め早めに”みかづきのまい”で使い捨てたほうがよい。


サイコキネシス れいとうビーム トリックルーム みかづきのまい@オボンのみ
 ”トリックルーム”を絡めるパターン。基本的には上述した内容と同様だが、起点構築としてのカラーが強くなる。
 ”トリックルーム”と相性の良いメガヘラクロスメガクチートなどと組み合わせることになる。


しねんのずつき スキルスワップ でんじは つきのひかりゴツゴツメット
 受けループ系の構築に採用するパターン。エアームドグライオンに近い性質を持ち物理受けを担うポケモンであるが、サブの特殊技で突破されにくい点が強みとなる。
 ”スキルスワップ”で”ちからもち”や”スカイスキン””フェアリースキン””こんじょう””スキルリンク”などを奪うと火力が激減させることができ、負担を和らげることができる。”ポイズンヒール”にも強い他、技構成を変えれば”マジックガード”ピクシーに対して”どくどく”を入れることもできる。
 受けループ構築でメガシンカフシギバナに割かなくても”はらだいこ”マリルリに強いポケモンを用意できる。


4.サイコショック れいとうビーム めいそう ねむる@カゴのみ
 裏エース”めいそう”クレセリア
 ”どくどく””みがわり”ヒードランや”めいそう”ライコウスイクンニンフィアなどでクレセリアを起点にしてくる相手に対して逆に起点にし返すことができる。
 逆に物理系で起点にしてくるバンギラスギャラドスなどに対しては上述した型以上に弱くなることには注意が必要になる。


対策
 クレセリア自体を倒すことは容易である。弱点がつかれないポケモンならば誰でも勝てるだろう。
 ただし、”みかづきのまい”や”でんじは”で自由に動かれるとクレセリア自体を倒せたからと言って勝ちが近づいているとは限らない。
 クレセリアを自由に動かさせないための代表的な対策は”ちょうはつ”や”みがわり”になる。
 ”みがわり”で”でんじは”を防げばそれだけでテンポが握れるし、”みがわり”を割られないポケモンならさらに有利に立てる。”トリックルーム”からエースに繋がれても”みがわり”連打でターンを稼ぎやすい。
 同様に”ちょうはつ”メガギャラドスメガバンギラスで”りゅうのまい”が決まれば一気に勝ちが近づくだろう。ここまでできずとも”ちょうはつ”ファイアローなどでも簡単に黙らせることができる。
 単体での性能は高くなく、周囲のポケモンと連携して真価を発揮するポケモンという性質上、構築を見た段階でクレセリアがどんな役目を負っているのか予想を立てておくとよい。